望のため息
望のため息
困った。
いろんな意味で自業自得。
何がって…
私の体が火照ってる。
私には私自身が作り上げたイメージがある。
『可愛らしくて、癒し系』
でも、本当の私はちょっと違う。
私にはとっても優しくて、とっても頭の良い彼氏、一ノ宮睦月くんがいる。
睦月くんと私は残念ながら別のクラス。去年は同じクラスだったんだけどね。
最初は何とも思っていなかったんだけど知らず知らずのうちにその優しい眼差しを独り占めしたいと思うようになっていた。
だから努力したわよ、よく見えるように。
ここで言う、『よく見える』は自分のイメージ強化。だから、髪だって毎朝ホットカーラーでまいて、さらにリップもウルウルのをぬって、とにかく『可愛らしくて、癒し系』を真っ当した、つもり。
ただしウザイ系にはならないよう、細心の注意も払い続けた。まとわりつかない、可愛いをこえてブリブリにはならない等々、自分にルールを課してね。
きっかけは案外簡単だった。それは図書館。
図書館でよく顔を合わせるようになって(あ、勿論彼に会うために私がわざとを装っていたんだけど)、そのうち一緒に帰るようになって。
11月が終わる頃には図書館に行かなくても、一緒に帰るようになっていた。
クリスマス前に告白をした。私からの告白に彼は少し驚いていたっけ。そんなふうには見えないって。
でも私は、その言葉すら利用した。
「私もびっくりしているの。でも、言葉に出して伝えたいくらい睦月くんが好き。」
それから私たちは正式に付き合っている状態になった。
それまでは、周りがただそう思っていただけ。ま、私としてはそのほうが都合がいいから否定はしなかったけど。
優しくて、真面目な彼とはキスをするまでの道のりも長かった。
エッチだって…。要が睦月くんをあおってくれていなければ未だにしていなかったかも。
でも、一回したからってなし崩しにならないのが睦月くん。けれども、その快楽を実は知っている私には・・・・
どうして私がその快楽を知っているか。それは、要。
要とは数え切れないくらいした。そこに愛はなかったけど。
あったのは興味。
人間、興味があると色々チャレンジするでしょ?、勿論私たちのエッチにもチャレンジは色々あった。
体位だって色々試したし。それにチャレンジ精神に勝る要の追求心のお陰ですごく気持ちよかったし。
アオちゃんと話しているうちに、要とのセックスを思い出して体が火照るなんて・・・
「どうしたの、他の場所では話せないようなことだった?」
「うん。あのね、今日のお昼休みに、同じクラスの子の恋愛相談みたいなことにのってたんだけど…、その、話していたら、すごく睦月くんに会いたくなって、もっと言うと二人っきりになりたくなっちゃったの。…あのね、キスして欲しいの。」
ちょっと驚いている。そうよね、私から言葉に出してキスをおねだりしたことは今まで一度もないから。なんとなくその場の雰囲気とかでキスしたり、睦月くんに強く抱き締められてからキスしたりだったから。
でも、本当はキスだけじゃないの。して欲しいことは。
「どうして?」
え、優しい睦月くんが、どうしてそんな質問を?
「どうしてって、その、あのね、恋愛の話をしていたら、その、気持ちが盛り上がっちゃったの。それで、睦月くんとはやく二人っきりになりたいとおもっちゃったの。こんなこと言い出す私なんかイヤ?」
そこまで聞くと、睦月くんが私の肩を引き寄せ抱き締めてくれた。
そして耳元で一言、
「イヤじゃないよ、うれしい。」
優しいんだけど、低いその声が耳に響くとぞくっとする。
そして、その口は耳たぶに優しくキスしたかと思うと、そのまま首筋を伝い、最後に睦月くんは私の肩に顔を沈めた。
「キスしたよ。」
「あ、」
違う、耳じゃない。
「どしたの?」
「なんでそんな意地悪するの?」
「可愛いから。」
いつもの睦月くんじゃないみたい。
「分かってるよ。ただ、いつも受身の望にそう言われると、少しいじめてみたくなった。」
ごめんなさい、いつも受身で。でも、今日は仕掛けるから。だって、キスだけじゃあ消化できないもの、この火照りは。
少しすると、睦月くんの唇が私の唇を完全い覆った。
誘うように唇を僅かに開くと、そこから強い意志で私の中に入ろうとする舌が。よかった、デープキスをする必要があるから助かった。
その舌を受け入れて、自分の気持ちを返すには睦月くんを強く、強く抱き締めるスタイルが自然。だから、手を背中にまわして、そして自分の体を密着させる。自分の胸を強く押し付けて、わざと刺激する。その刺激が下半身を煽るように。できれば、私の後ろに回っている手が胸を弄ってくれるように。
放課後の人気のない教室。深く絡み合う舌。口元からの淫靡な響き。
どうしよう、興奮してきちゃった、わたしの体は既に準備を始めているのが分かる。疼いてる。
後は・・・睦月くんが反応してくれるかどうか。でも、さっきから固くなってるものがあたってるから、大丈夫よね。
ホントは手で扱ければ、間違えないんだけど、さすがにそんなことはいきなりできないよね、私のいつものキャラじゃ。あとはとにかく煽りまくって、目的を達成させなきゃ。
と、思っていたのに、睦月くんの手が私の肩を引き離した。
「ごめん、これ以上は無理。」
「無理?」
「ちょっと、困ったことになった。」
そこまで言って、その先は私の耳元で囁いた。
「したくなった。」
ぜんぜん、困らない。むしろ嬉しい。って言うかそうなることを望んでいたんだから。
でも、どうする?ここから目的に向かわせるには?
まさか、『いいよ』とか『して』とかは言い辛いし…。やっぱ私のキャラ的には目をウルウルしかないかな。
でも、ここは確実にことを運ばなきゃ。
「私、睦月くんに求められるなら、断る理由はないよ。」
パーフェクトな回答じゃない。どうする睦月くん?
「望、でもここじゃベットもないし……………、ね、でも、我慢してもらえるなら…」
ふふ、そのつもりだから大丈夫。ベットも何も、横たわれる場所がないからここに誘ったんだもの。だって、いつも同じ体位でしょ、ここなら、それ以外しかできないもの。
「睦月くん、いやらしい子だと思わないでね。さっきも言ったけど、私、睦月くんに求められるなら場所なんて気にならない。」
睦月くんがつばを飲み込むのが分かる。そうよね、あれだけ体を密着して誘いつづけたんだもの、もう途中で引き返すことはきつよね。
若い男の子の生理としては。
ふふ、成功。
「望、たぶんこんなところに来るヤツはいないと思うけど、念のため隣の準備室へ行こ。隣なら鍵もかかるはずだから。」
「…うん。」
隣の狭い準備室に入ると、睦月くんは私に窓際の流し台に手をつくように言った。すなわち後ろからするってことよね。
「望、ごめんね。でも、これだったら望もしっかりつかまってられるから。」
そしてブラウスをスカートから引き抜くと、その下に睦月くんの手が進入して、私の胸をブラの上から揉んだり、優しくなぞったり、強弱をつけて可愛がり始めた。
「望って、顔と胸があってない。いつも思うけど大きいよね。」
「や、そんなこと言わないで。」
「事実だから。それに感度もいいし。ブラの中じゃ窮屈?はずしてもらいたい?」
そう言って、睦月くんは私の耳を優しく舐めながら、答えを待つ。
布を通して胸の先端を刺激されるのも何ともいえない気持ちよさを持つけど、本当は直接触られたい。
「どうする?」
「お願い、直接睦月くんを感じたいから、お願い。」
「お願い、何?」
「えっ、あの……、」
「あの、何?言って、」
「え、あのね…ブラをはずして、直接触って。」
「分かった。ブラをはずして望の大きな胸を可愛がってあげる。」
「そんな、そんな、恥ずかしいこと、言わないで…。」
睦月くんもこのシチュエーションに興奮しているのか、いつもより全然胸への愛撫が激しい。
「望の乳首こりこりしてる。」
もう、何を言われても返事はできない。時折、乳首をきつくつままれると漏れる声は、自分の声なのに、更なる興奮を呼び起こす。
「足、少し広げて。」
睦月くんの右手が、スカートの裾からショーツをずらす為に入ってきた。
でも、すぐにはそうはしてくれなかった。
右手は前から侵入して、恥毛ごと敏感な場所が外に出るよう両側を引き上げた。
「確かめていい?どうなっているか?」
私はただこくこく頷くしか術がない。
左胸から左手が離れて、そのまま目的地へ向かっていく。
私の期待を裏切るように、その手は中には入らず布の上で下から上へとそこを撫であげた。けれど、右手で強く押し上げられているから、上下に撫ぜられるだけでも息があがってしまう。
「望のクリトリス、すごく立ってる。いやらしい。ここはビショビショだし。」
「あ、ん、イヤ、ああん、そんな、こと、言わないで…」
「こんなにビショビショじゃあ…、脱ぐ?」
私が頷くよりも先に、睦月くんは下着に手をかけていた。
自分でも怖いくらいに下半身が疼いているのが分かる。ようやくこの火照った体に睦月くんをうずめてもらえる。
「望、ここ、めちゃくちゃにしてもいい?」
好きなだけめちゃくちゃにして欲しい。声が出るなら、それを叫んでしまいたい。
でも、睦月くんはスカートを捲くり上げて、裾を腰にねじ込んでから、私の敏感な部分に、私が望むものではなく指を挿入してきた。
「すごい格好だね。かわいそうだけど、せっかくいい格好してるから、もう少し足開いて。じゃないと、最後まではしてあげられないよ。」
うそ、そんなの絶対にうそ。でも、私は力を込めて右足を少しずらした。
ご褒美と言わんばかりに指は更に深いところで、私をかき混ぜ始めた。
もう、私の声はかすれながら喘ぐしかない。
「望、も、限界、」
睦月くんの途切れ途切れの言葉のあと、待ち望んだものが私を満たした。
彼が腰を打ち付けるたびに、私の立てていた肘は何度も折れ曲がり、そのリズムを受ける。そして、折れ曲がりは徐々に強くなって、その瞬間が来ることを教えてくれた。
「うっ、いくよ、」
その後、睦月くんは更に深いところで自分自身を私の中で震わせた。
息も絶え絶えに、睦月くんに振り向くと大きく肩で息をしている彼と目があった。いつもと違うエッチをしたからちょっとはずかしい。
だけど、これで終わりじゃないんだから。
睦月くんは振り向いた私に、きれいにしないとねと囁いた。そしてポケットからティッシュを出すと当たり前のように、私のそこを優しくなぞる。
やだ、それだけで興奮していた体には刺激的で喘いでしまう。
「だめだよ、そんな声だしたら、これ抜き取るんだから。」
ピンク色のゴムに包まれたそれは、また大きくなろうとしているようで…。
私も自分の持っているポケットティッシュを差し出す。
「ティッシュこれしか持ってなくて…」
どうみても不十分。
「大丈夫、あとはハンカチでなんとかするから。」
「でも、それじゃ…、睦月くん、あのね、私、知ってるの、女の人が男の人のを口できれいにするって。ね、教えて、そうすればハンカチを汚さなくていいでしょ。」
「でも、望…いいよ、そんなことしなくて。」
「出来るから。お願い。」
そう言って、膝立ちになってしまえばもう断れないでしょ。
大丈夫、本当はうまいくらいなんだから。
それに、大好きな睦月くんのだから口でしたいし。
ま、恐る恐るって感じで進めて、たまたま良いところにヒットしてって感じでいけばいいよね。
睦月くんがゴムをはずし、軽く拭いたそれに躊躇う感じをだしながら口をつけ、最初は口を離して見上げてみる。
次は先端に何度も音を立てながらキスをして、先端部分だけを口に含みながら見上げてみる。
「ごめんね、望、しなくていいって言っときながら…、いいよ、すごく、もっとお口をあけて歯をたてないように咥えてごらん。咥えたら、舌を使って絡ませて…」
その指示を忠実に守るようにほお張ると、睦月くんの優しい手で頭を撫でられた。
彼の口からは気持ちよがる声と、更なる指示が。
その指示すら私には心地いい。
何度もその反り返ったものに下から上へ向かって舌を滑らせ、彼を見上げる。要が言ってた、フェラをされながら下から女の人に見上げられると自分のモノを崇拝しているかのような錯覚を起こし不思議な優越感がやってくるって。
睦月くんは今何を思っているんだろ?
私をいやらしいと思ってるかな。それとも…、
いい、もう、いいよ、ただ、自分の思うままに…、すればいいんだから。
「の、ぞみ、そろそ、ろ、だから、」
イヤ、思うままに…、
私は、自分の意思で、彼の腕の力を振り払った。
「うっ、ゴメ…、ン、も、ムリ、」
気が付けば、私は睦月くんの精液を飲み干していた。
心配そうに見つめる瞳。いいのに、私がしたかったからしたのに。
「望、そこで口ゆすいで、」
「え、あ、うん、でも、大丈夫。私、最後はもう、なんだかよく分からなくて。」
これは、本当よ。
「俺も、ゴメン。何か興奮し過ぎて、かなりムリさせたよな。望があまりにも可愛くて。いつもなら出来ないことまでさせちゃって…、ひいた?」
「ううん。ちょっと恥ずかしかったけど、ひいたりはしない。それより、私こそひかれない。」
「まさか、逆に、いつもと違う望に興奮した。ホントのこと言ってもいい?」
「え、何?やっぱり何か、」
「違う、これからももっといろいろしよ。正直言うと、俺、想像の中で望に色々してた。今日、少しそれをして、すごく興奮して…、嫌う?」
「ううん、私、睦月くんが望むなら…。」
「じゃ、今日、もう一つお願いしてもいい?」
そういう睦月くんの表情はとても切なげで、それでいて色気がある。
「その大きな胸で俺のを挟んで、扱いて、気持ちよくして。」
「胸で…、」
「そ、」
そう言いながら、睦月くんは上を脱がせてくれた。中途半端にストラップだけでぶら下がっているブラもとり去り、何度か乳首をわざと音を立てながら甘噛みして私の顔をうかがう。
「どうするか教えて…、」
「教えてあげるけど、出来る?」
小さく頷くと、興奮の色を滲ませて満足げな彼が囁くように指示を出した。
「自分の両手で、むね、ううん、望の大きなおっぱいを中央に寄せてごらん。」
「はずかしぃ…」
「恥ずかしがらずに、寄せながら、望のおっぱいを楽しんで下さい、って言ってみて。そしたら、俺の反応して挟みやすくなるから。」
以前もしたことはあるけど、そんな言葉をつけてはしたことがなかった。それは本当に恥ずかしい。
けれでも、彼のためなら出来る気がした。
久しぶりの激しいエッチ。それも、予想したよりもすごくて…。
睦月くんの中にある欲望が少しうかがえた。
「望、さっき震えてた。言うの恥ずかしかった?」
「うん…。」
「ごめん。本当、つい可愛くて…、ま、理由にはならないかもしれないけど。ね、どっかで、何か温かいものでも飲んで帰る?」
「うん。」
学校の門を出てから、少しすると彼は私の大好きな笑顔でムリさせてゴメンと謝った。
でも、本当に謝らなくちゃいけないのは私。
だって、最初からしたくて誘ったんだから。でも、ここまでさせられるとは思ってなかったけどね。
今日の火照りはおさまった。
けれど、これからのことを思うと期待で新たな火照りが自分を襲うのが分かった。
—end—