12月には、クリスマス

 

血はあらそえない


「あらのんちゃん、お帰りなさい。」

「あ、おば様、ご無沙汰しています。」


私のことを『のんちゃん』と呼ぶこのおばさん、うちのお母さんのお姉さんであり、要のお母さん。

家が近いっていうのもあるけど、そもそも仲良しな姉妹なのでよく遊びに来る。


「そうそう、のんちゃん、知ってる?、うちの要に彼女が出来たの?」

「ええ、まあ。」

うっかり何か余計なことを言って要に恨まれるのも邪魔くさいので、適当にながそうとしたのに、うちのお母さんが喰いついてしまった。


「あら、要君に、っていうか今までいなかったの?」

いましたよ、それもあおちゃんと全く別のタイプの人たちが。


「それがいたみたいなんだけど、初めて私たちに紹介したのよ。しかも、楓が言うには今まで見たどの子とも全然タイプが違うんですって。なんていったらいいのか、とにかく可愛いのよ。それにね、普段は顔色一つ変えない要が、彼女がいると、違うのよね、態度が。おかしいでしょ?」

親って案外見てるんだ。


「あら、要君っていったらいつも涼しい顔をしている感じだけどね。」

「でしょ、この間なんか、要の彼女をクリスマスパーティに誘ったら、あの子、顔は平静を装おうとしてるんだけど嬉しさが隠しきれてないのよ。もう、おかしいったら。」

「で、その子は来るの?」

「ええ、だって私が先に彼女のお宅へ電話をして許可を取っといたから。当日は泊まっていってもらう予定だしね。そしたら楓も混ぜて女同士で遅くまで話せるでしょ。」


絶句。さすが要のお母さん。先に根回しをして、あおちゃんが絶対クリスマスパーティに参加できるようにするなんて。血は争えないってやつね。

でも、あおちゃんも不幸ね、とんでもない血族に狙われて。


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