教えてもらいたいのは。
教えてもらいたいのは。
3
「今日の教科は家庭科ってこと?ありがとう、リクエストにこたえてくれて。」
まさか作ってくれるとは、しかもこんなにすぐ。変に期待していなかった分、結構嬉しい。だから、感謝を伝えたかった。
「…うん、でも、これは実習の成果発表。課題は別。」
「あ、課題、出てたんだ。」
勝手な言い草かもしれないけれど、喜んだ分がっかりしてしまった。本当に課題をすることに。
今日は、作ってくれたシュークリームの為だけに誘ってくれたと思ったから。
「で、何?」
「あのさ、今日、教えて欲しいのは…、あ、っと、もっと食べる?まだあるから、食べるなら持ってくる。」
「十分食べたからいいよ。課題、片付けよう。」
「その、…えっちってどんなか教えて。香奈に聞かれて、えっちについて、それで」
「えっ、と、かなってあの香奈ちゃん?」
「うん。2年の終わりから、たんちゃんと付き合いだしたでしょ。で、春休み、結構距離が縮まったみたい。キスの時に手が胸の付近を触るのって、そろそろいいって聞かれているのかなあって。よく分からないっても言えないから、そうじゃないって言っといたけど。きっとそういうことだよね。」
「たぶん、香奈ちゃんの反応見てるんでしょ。その時拒否られたら凹むから。」
「なんか、きゅっとするかとかも聞かれて、」
「きゅっとする?」
「キスしながら、お尻に手をまわされたり、胸の付近を触られると、その…、あそこがきゅっとするんだって。あと、胸の先、っていうか、乳首も。」
「生々しい話だな。そんなこと話しちゃうんだ、女の子同士は。」
「話すっていうより、色々聞かれてる。だって、わたしは、男の子と、その、一太と、付き合っているのすごい長いでしょ、表向きは。でね、困ってる。今までは適当言っていたけど、友達に適当を言い続けるのって、ちょっと…。何より適当にも限度があるし。っていうか、聞かれる内容も結構キワドくなってて。」
「そっか、だけど、俺も女の子の気持ちは分からない。ネットとかで調べまくるしかないんじゃない。」
「…」
「一人じゃ恥ずかしくて出来ない、とか?いいよ、一緒に調べてあげる。」
俺的にはかなり危険な状況に陥るけれど、これも今までの関係からしたら納得できる。きっと、信用されているんだろう。
課題は香奈ちゃんからのキワドい質問。そりゃあ、誘うのに理由は言えないな。シュークリームは、言い出す為の切欠か。
「違う、そうじゃなくて。…知りたいの、どんなか。聞かれても答えられるように。その、…して欲しい。」
「えっ、」
「保体の勉強、教えて。」
「あのさ、」
「わたし、本気だから。」
そう言うなり、菜奈はいきなり立ち上がり制服を脱ぎ始めた。
止めた方がいいのは分かってる。けれど、あまりにも可愛くて。だからこのまま見ていたいと思ってしまった。なにせ顔は赤いし、手はもたついて立った勢い程は制服が脱げていない。
タマネギみたいに、服が何枚も重なっていればいいのに。そうすれば、この光景をずっと見ていられる。
「そんな色気の無い脱ぎ方じゃ、相手がその気になるのは難しいと思わない?」
「え、だって、男の子は裸を見たら、その、興奮するんでしょ。」
「現物がそこにあるなら、違うんじゃない。写真は、そりゃあ最初から、乳見えとか真っ裸だろうけど。香奈ちゃんがこれから味わうのも、いい雰囲気から脱がされるっていう流れだろうし、どう考えても。で、菜奈に聞きたいのは、その時のこととか、色々細かいことでしょ。」
「…細かいことなんて、余計無理。経験ないんだから。」
「今まで通りのはったりでいいじゃん。何か言っておけば。それこそ人それぞれなんだから、想像したことを適当に。」
「もう無理だってば。想像にだって限界があるんだから。」
「だから、エロサイトを一緒にみればいいじゃん。」
「もう見た、いっぱい。でも、やっぱり現実的じゃないもの、ああいうのは。」
菜奈はかなりテンパっているようで、想像していること、エロサイトを随分と見たことをすらすら告白してくれている。
本当にかわいい。
「ねえ、一太は今のわたしの姿を見て何も思わないの。」
「可愛いと思うよ。一生懸命で。」
「違う、そうじゃなくて。女としての魅力とか、」
「魅力あるから、服着たら。」
「引き返せない。すごく勇気必要だったんだから。お願い、教えて。経験がなくて失敗するのが怖いならしょうがないけど…」
菜奈は片道の勇気だけを持っていたんだ。確かに、ここまで来たら、引き返すのにもそれ相当の勇気がいる。だから挑発までして。
「先に言っておくと、俺、童貞じゃないから。出来なくもないけど。」
「嘘、だって彼女いなかったじゃない。」
「そうだね、でも、違うんだ。」
「いつ…」
「立ち入った質問だね。申し訳ないけど、それには回答出来ない。…って、どうして菜奈が泣く必要があるんだよ。」
「お願い、キスして。」
涙に弱いわけでも、魔が差したわけでもない。ただ、引き寄せられるように額にキスをしてしまった。
「一太って根っからの王子様気質ね。でも、ここは、王子様は嫌。教えて、キスを。」
ブラにパンツ、健全な17歳だから嫌いじゃない、こういう格好。菜奈はもう引き返す勇気も持ち合わせていなければ、術も知らない。
このままじゃあ…
「本気で勉強する?ただし、勉強するとなると俺に全て見られるけど。」
涙目で頷く菜奈は、何とも言えない程魅力的だ。全ての意味を理解しているかは怪しいけど、引き返せないなら、適当なところまで進んで止まらせてあげればいい。でないと、俺たちの今まではほんの少しの時間に全てを消されてしまう。
「じゃあおいで、まずはキス、してみようか。」
軽く何度か唇を重ねて舌を差し込むと、すぐに菜奈の体の力が抜けていった。
「あっ、」
「どうかした?」
「ううん。」
「で、どう、ブラのホック外されるのって、どんな気持ち?」
「胸が自由になった。」
「違うよ、それは今の菜奈の胸の状態。気持ちは?自分で外すのと誰かに外されるの、どう違う?」
「それは…」
「かなちゃんがもし触って欲しいとか、敏感な先端を口に含んでもらいたいようなら、OKってことだろね。不快と恐怖しかなければ、まだ先だろうし。ま、怖いけど、好きな人には触ってもらいたいとかそんなとこだと思うけど。勉強になった?これで答えられるだろうから、もういいだろ。」
じゃないと、俺が本当にやばい。
「止めないで。続けて、お願い。もっと、教えて、どうしてなのか。ブラがはずれて、胸のあたりがふわっとしているのに、先がきゅっとしているのはどうしてなのか。」
肩のストラップで引っかかっているだけのブラの隙間から、菜奈の胸が見えている。これ以上はまずいので、視線を菜奈から外した。
「乳首が硬くなっているのなら、緊張しているとか、感じているとかじゃない。実際に見たり触ったり舐めてないから何とも言い切れないけど。ほら、見ないでいてあげるから、ブラ、なおして。」
具体的に男がそこに何をするか言えば、菜奈も怖じ気づいてここで止まるしかないだろう。