過保護な関係
過保護な関係
11 誘い
「すっきりした?」
「まだ…。」
「そっか、」
「聞かないの、どうしてか?」
「話したい?」
「聞いたら、全部答えてくれる?」
「全部は無理かもしれない、だけど最善は尽くす、それでもいいなら、」
「…うん。」
「じゃあ、寝る支度して僕の部屋においで。」
「へ?」
お兄ちゃんの最後の一言はどういう意味?どうやらかなり怪訝そうな顔で見てしまったらしく、お兄ちゃんがクスリと笑いながら言葉を続けた。
「別にとって食いはしないよ。あ、ストレートに言ったほうがななせには分かり易いか、セックスを強要したりはしないから。ただ昔みたいにベットの中でななせと話し合いたい。」
お兄ちゃんは刺激の強い言葉を最近よく口にするようになった。その言葉が出るたびにその行為を意識してしまうのも事実で…、はっきり言って困る、その言葉。
だからさっきも部屋においでと言われて、そのことを真っ先に思い浮かべてしまった、オハズカシナガラ。
だけど、お兄ちゃんが言うように昔はよく二人で一つのベットの中で色んな話をしてた。
学校であったこととか、最近好きな曲とか、色々。お兄ちゃんはわたしが眠くなるまでずっと聞いていてくれて、なんだか心地よかったのを覚えている。
「ななせ、分かるだろ。どれだけ僕がななせを今まで大切にしてきたか。嘘をついてまでななせの嫌がることはしないから。だから安心して僕の部屋においで。」
いつもの断ることが出来ない笑顔でお兄ちゃんが誘う。きっとお兄ちゃんは嘘はつかない。それは分かってる、だけど、何かがわたしの足を踏みとどまらせようとしているのも確か。
だけどやっぱりあの笑顔に抗うことは出来なくて…
「じゃあ…、後で、行くね。」
結局わたしはこの言葉を口にしてた。はぁ、、、
寝るときの服装は…、実はとんでもないものを持ってきている。
これは、お母さんがジュリエットナイトドレスとかなんだとか言って持たせてくれたやつなんだけど、純白で、胸元には刺繍は付いているし、フリルもふんだんだし、はっきり言って、着れない。しかも、お兄ちゃんの前では。
ふふ、実は、ちゃんとTシャツ・短パンは持ってきてるんだよね、だって寝るときくらいは寛ぎたいもの。
中でも一番露出が少ない組み合わせを選びながら、お兄ちゃんに聞くべきことを整理した。この回答如何では、やっぱりこの婚約は難しい気がする。
そして、わたしは何より今まで兄弟として接してきたお兄ちゃんに家族としてではなく、異性に対する愛情を持つことができるんだろうか?