過保護な関係
過保護な関係
13 体現
お兄ちゃんとわたしたち家族が一緒に住むようになった理由は驚きだった。お兄ちゃんが誘拐されかけたなんて…。でも、誘拐のターゲットになるなんてお兄ちゃんの家はやっぱりお金持ちなんだって実感せざるをえない。
「一緒に暮らすようになった理由は分かったけど、そのぉ、け、け、結婚はどうしてなの?やっぱり、わたし?」
「結婚はななせが僕のお嫁さんになりたいって言ったからじゃないよ。僕が望んだんだ。」
「おにぃ、、悠作くんが望んだの、わたしとの結婚を?でも、どうして?」
「どうしてって、分からない?」
「…難しい。だから知りたい。」
結婚がどういうことかは知っている。お互いに好きな人同士が法律的にも精神的にも肉体的にも結ばれること。
じゃあ、お兄ちゃんがわたしと結婚する理由は…
「これだけ一緒にいて、何も感じなかった?こんなに好きだって表しているのに。」
「だってお兄ちゃんだと思っていたから。過保護すぎるとは思っていたけど。」
「まあ、ななせがそう感じるのはしょうがないか…、兄弟っていう大前提が僕等にはあったんだから。」
過保護すぎるとは思っていたけど、お兄ちゃんがわたしを好きだなんて。
「でも、どうして好きになってくれたの?」
「それはまた今度いつか。今日は僕がどれだけななせを好きか今までのことを考えて理解して。」
そう言ってお兄ちゃんはわたしを抱き締めた。
「何にもしないって言ったのに…。」
「これは今までしたことがあったろ。だから当たり前のこと。最近ななせがちゃんと朝起きているから出来てないけど。」
当たり前のこと…、そうだよね、普通兄弟でこんなことはしないよね。
わたしは今まで妹としてこの行為を受け入れていたのかな、それとも心のどこかで女性としての意識を持ってのことだったのかな…。
ただ確実に言えるのは、こうしているとドキドキするけど、心地いい。
「ななせは僕のことをどう思っている?」
「どおって?」
「好きか嫌いか、簡単だろ。」
簡単じゃないよ、お兄ちゃんとしては勿論すきだけど。
考えがまとまらないでいると、お兄ちゃんのいつもの優しい視線とぶつかった。そんな目で見られたらわたしの口から出る言葉は限られてしまう。
「スキ、だと思うよ。」
スキという言葉を口にしたらなんだか恥ずかしくなって、本当は心地いいのに思わずついでに手を離してと言ってしまった。
「本当に?」
意地悪な微笑みを見せるお兄ちゃん。馬鹿だった、お兄ちゃんはわたしの気持ちなんてお見通しなんだから。
「ううん、」
「じゃあ、こうしてもらいたいんだ。」
どうしてそういう言い方をするかな…
「答えて。」