寒さと後悔

 

停止


いい日曜を過ごした、と思う。

この間ハジケタお陰で睦月くんといいエッチもしたし。


それに、あのとんでもない依頼から、要のメールやら電話が止まった。

でも待って、それって…、まさかね。


ふと右奥を見ると、さえない子の横でなにやら話しながら着替えているアオちゃんが目に留まる。まさかね…。

朝挨拶したときも、普通だったし。

でも、わざわざしましたとは報告なんてしないよね、普通。



ちなみに今は3時間目の体育前。場所は更衣室。

大ボス達の件があったらから、なんとなく傍で着替えてる最中。

「一ノ宮くんは当日どうするって?」

「え、あ、えっと…。」

「もう望ってば、何着替えながらボーっとしてるの?」

「あ、ごめんね。それでなんだっけ?」

「だから、」


友達との話も上の空で二人がしたかしてないかを考えるなんて…。

私ったら。


「あ、後でゆっくり話すから先に行ってて。」



アオちゃんとその友達はのんびりと着替えている。三人ともその速度は似たり寄ったり。だから、あの輪からアオちゃんだけがはぐれることは、何か起きない限り無理。

じゃあ起こすしかないよね。


「喜多さん、黒川さん、ゴメンナサイね。木内さんに文化祭の当日のエプロンのことで確認したいことがあるの。ちょっとだけ、木内さんを借りてもいいかな?」

とりあえず極上の笑顔で二人に了承を得る。


私の笑顔につられて、二人も笑顔でそそくさとジャージをまといながら去っていく。

残ったアオちゃんはなおものんびりとジャージを取り出しながら、私の方を向いた。


その瞬間、私の目は一箇所に釘付けに。


その鬱血って、俗に言うキスマークってやつじゃありませんか!


「アオちゃん、今日はジャージのファスナーを上まであげといたほうがいいよ。」

「え、今日は秋の割には暑いから、それはちょっと。」

のんびりと、のん気なことを言っている。

駄目だ、分かってない。


「あのね、胸の上のほうにキスマークが付いてるのが少し見える。」

…」

「ね、それってキスマークだよね。」

小さな声で尋ねてみると、俯いたままアオちゃんが小さく頷く。


「体育館へ行きながら、少し話をしてもいい?」


更衣室をでてから、私はストレートに聞いてみた。

「ね、もしかして、要と、その、した?」

「えっ?」

「あのね、エッチしたの?その、そんなとこにキスマーク付いてたら、しましたって言ってるようなもんだよ。」


赤くなりまがらも、音がしそうなほど首を横に振る彼女。

その仕草からも本当にしてないのが分かる。だけど、そんなとこにそんなものが付いているってことは…。


私が黙っていると珍しく彼女から口を開いて、お昼をどこか静かなことろで一緒に食べて欲しいとお願いされた。


気になるじゃない、静かなところでお昼が食べたいなんて…。お陰で今日の授業のバレーは散々だった。


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