楽園のとなり

 

37


雅徳は馬乗りになるように響子にのしかかり、白く腰の細さの割には少しゆたかなヒップに強めに吸い付いた。

「あぁ、うう、御厨さん、あ、何を、、」

「さっきから見えていた美味しそうなお尻をいただいているだけだよ。それともご褒美はこっちだと思った?」

「ん、ああ、」

差し込んだ二本の指は簡単に飲み込まれていった。

「どうしてこんなに濡らしているか言ってごらん。何を考えながらフェラチオしてた?」

「あ、わたし…」

「ちゃんと言わないと、分かるね。罰を受けないと。」

…罰はイヤ、」

「じゃあ、言ってごらん。」

「あの、御厨さんに、その、満足してもらいたいって、」

「満足?何に対して?」

「その、大きくなって、敏感になって、感じてもらえたらと思って、」

「それで、響子のここを、ついてもらいたいって?」

「あん、あ、御厨さん、、」

響子は肝心なことは答えなかった。わざとなのか、それともそんなことを言えないだけなのか。いずれにせよ、それを今迫るのは苦しめるだけだろう。それよりは


「どんどん溢れてくるけど、響子は実はとってもいやらしい?」

「うぅ、わたし、あっ、分からない、」

「自分のことなのに分からないとは。じゃあ教えてあげよう。こんなにここからいやらしい汁を垂れ流すのは、響子がとってもいやらしいからだよ。自分で告白して。わたしはとってもいやらしいから、おしゃぶりしただけでたっぷり濡らしてしまいましたって。これが言えたら、さっきのご褒美よりももっといいご褒美が待ってる。」

「もっと…?」

「そう、もっと。」

響子は羞恥に時折体を振るわせながら、雅徳が満足いく回答を時間をかけながら答えた。

「いい子だね。」

それから、雅徳は挿入することなく響子を何度もいかせた。いきそうになると焦らし、おねだりをすることも教えながら。思考能力よりも本能が優位に立った響子は素直に雅徳の命令を受け入れていく。


再びフェラチオをさせるのは簡単なことだった。とろんとした目の響子の手をそこへ導けば、何度か扱き口に含んだ。そこに言葉なんて不要だった。

響子が何度も滴らせたように、雅徳も何度となく先走りを流している。響子が口に含んでしまえば、多少なりとも精液を味わうことになるだろう。それくらいは勘弁してもらうしかない。

けれど、思考能力が落ちている響子は本能のままに雅徳を味わっている。時には舌を尖らせ、鈴口を突いたり、先っぽだけを唇で締め上げたり。


雅徳はどんなに余裕があることを言おうと、態度でそれを示そうと、はったりにすぎないと認めざるをえなかった。自分の中にある様々な感情の正体は明白なのだから。

響子が欲しい。今すぐに。本当は待つなんて馬鹿げたことはしたくない。亜樹に対しては嫉妬などという可愛らしいものでなく、もっと大きな負の感情を抱いている。雅徳がこんなにまでも大切に思い愛しくてしょうがない響子を不幸へと導く人物なのだから。

更にはどうしようもないことだけれど、10代の響子と仲が良かったことすら妬ましく思えてくる。


火曜、あの日亜樹はどういう展開をシュミレーションしていたのだろうか

そこまで考えたところで、雅徳の思考回路は快楽に支配された。いくら稚拙な行いとは言え、響子はしっかりと随分長い時間雅徳へ奉仕を続けている。それにベッドへ来てから雅徳は既に何度か射精感を噛み殺したのだ。当然と言えば当然のこと。

「響子、もういいよ。」

ところが響子はそのまま咥え続けた。

響子に放すつもりがないことは明白だ。決して美味くはない、というより不味いであろう精液は今まで堪えた分大量に出るに違いない。まだ二回目のフェラチオでそれは可哀想に思える。

ところが、心の奥底にある亜樹への負の感情と響子への支配欲が囁いた。残酷なことを。


雅徳は数度大きく響子の喉元に向かい腰を振ると、それまで堪えていた全てを放った。

何秒、響子の中に留まっていただろうか。

直ぐに放心状態から戻り正面の響子を見ると、その姿はこの上なくエロティックだった。大量の精液を全て口の中に留めることが出来ず、口の両端から白濁液を垂らし、目には涙を浮かべている。

「ゴメン、辛かったね。全部吐き出して、」

口で受けたものの、どうしたらいいのか分からなかったのだろう。ところが、響子は嚥下するために何度か喉をならした。驚きながら雅徳は、躊躇う事なく響子の顎の関節を強めに押し口を開かせた。

嗚咽まじりに、響子が精液を吐き出す。

「飲まなくていいから、」

…でも、」

責めてはいない。けれども響子は雅徳の精を飲み干せなかったことに対し、咎められているような気分になっているようだった。

気付けば雅徳は、先程まで自分の精液で満たされていた響子の口腔内を味わっていた。苦みとも何とも言えない味。それをできるだけ早く取り去ってあげたかった。


激しい口づけに響子が甘い吐息を漏らしながら体をよじる。雅徳は果てたばかりだと言うのに、再び男性器を大きく、そして堅くした。

もどかしい。そのもどかしさを生むのが、亜樹が仕掛けた罠だと思うと腹立たしさもこみ上げる。雅徳は知らず知らずのうち、その怒りを込めながら響子の乳房を揉みしだいていた。


激しい口づけ。力強いというより暴力的な乳房への愛撫を受けながら、響子は自分の中の何かが満たされるのを感じた。責められれば責められる程、満たされる"何か"が。

響子は無意識に自分からお願いしていた。

「御厨さん、お願いです。イカせて下さい。お願い、」

「イキたい?響子は会社での姿からは想像がつかないほどエッチなんだね。」

「だってもうおかしくなりそうなの、」

「何が、ちゃんと言ってごらん。」

「あの、」

「言わなきゃ分からないよ。」

響子の乳首は雅徳にきつく摘み上がられた。

「うう、あっ、あそこ、」

「あそこ?」

目に涙を溜めながら響子は羞恥を堪え雅徳に伝えた、手をそこにのばしながら。

「本当は御厨さんのこれで気持ちよくしてもらいたいところが、」

もうどうでも良くなった。響子の言葉は二人に同じ気持ちを抱かせた。


ーどうせ亜樹の元を去るつもりなのだから、メールの結びの一文など。

ー何があろうと響子を手に入れるつもりなのだから、亜樹が仕組んだ罠など。





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