雇われ女優の久我山さん
雇われ女優の久我山さん
プライベート触診
「深山、悪いんだけど乳房のしこりを発見する為に使う乳癌教育用視触診モデルを貸してくれないか?」
「変態。」
「変態!?、何でそうなるんだよ。」
「だって、胸モデルを使ってあんたがすることなんて、」
「ばーか、純粋にしこりの探し方を教える為の教材として使いたいだけだ。」
「循環器科のあんたがなんで、」
「俺の兄貴の嫁さんに。」
「はあ?」
「兄貴に頼まれたんだよ。」
「ふーん、ま、いいけど。」
「ついでに少しでいいから最近の傾向とか色々細かいことをレクチャーしてくれないか?乳房のしこりなんて随分前に習ったきりだから。」
俺を変態扱いしたこの女は深山千晴(みやまちはる)。同じ大学を出て、たまたまこの病院で二人とも働いている。深山は俺を学生時代から女の敵と呼んではばからない。実際そういう時もあったので、今更どうこう言うつもりもないが。
二日後深山から、『これわたしの私物だから』と胸のモデルを貸してもらい、簡単にしこりの出来やすい部位やら出来る可能性のある部位等のレクチャーを受けた。
「涼、これを首から提げて。」
これはこの間の仕返し。俺は深山から借りた胸のモデルを涼につけさせた。そしてそれを見たあっちゃんがふいた。そりゃあそうだろう、あの涼が大振りなお椀型の『おっぱい』を首からぶらさげているんだから。
後になって思えば、そのあっちゃんの悦に入ったようなような表情がいけなかったのかもしれない。ついでに俺のざまあみろみたいな視線も。
「厚美もこっち来て、一緒にミキから教えてもらわないとな。」
そう言った涼はソファをポンポンとたたきながらあっちゃんを横に座るように促した。
涼は気付いている…
俺があっちゃんに好意を寄せていることを。
同じ遺伝子が彼女の何かに引き寄せられることを。
「専門外とは言え、一応プロなんだから触診してあげて。」
しかもあっちゃんには診てもらいやすいように服脱いだらとか、病院へ行く手間が省けてよかったなとか言っている。
勿論あっちゃんは、そんなの悪いからいいよと俺と涼の顔を見比べながら恐縮した。
当然の反応だろう。
けれど涼は面白そうにあっちゃんを追い詰めていく。
「厚美、もしかしらたミキに触診されて感じるから?とか、」
その発言にあっちゃんの勝気な目が更に勝気さを増して涼を睨む。
これも当然の反応だろう。けれど、あっちゃん、逆効果だって。怖くなんかない、悲しいかな俺にも分かる、その表情が涼に刺激を与えているって。涼が思ったであろうことまで分かってしまう、その視線を深い快楽へ落としたいと。
助けてあげないと。
「あっちゃん、まず涼がぶら提げている胸のモデルにしこりがいくつかあるから、それを探してごらん。」
「え、あ、はい。」
「涼も。」
二人の手がしこりを探すために偽物の胸の上を這う。俺の目には異様なまでにいやらしく見える。その証拠に股間が熱い。
「これかしら?」
二人が座るソファの前に跪きあっちゃんの手があるところを確認する。
「正解。」
その後もあっちゃんは真剣にしこりを探す。俺の頭の中には3Pなんて文字が浮かんでは消え、消えては浮かび…辛かった。
しこりを全部発見、俺としてはここでやめるつもりだった。けれど…
「じゃあ、触診してもらえよ。」
「え、いいよ自分でやってみるから。」
「ミキは医者で体なんか見慣れているんだから、別に恥ずかしいことじゃないだろ。特にこいつは女の体なんて昔から良く知ってるんだから。それともやっぱり触診でも感じ、」
くすくす笑いながら、涼が面白そうにあっちゃんに仕掛ける。
「分かったってば、ミキ君、キャミの上からでもいい?」
「だからミキはプロだって、こと女の体には。」
イヤ、別に女の体のプロではない。なぜなら涼に引き剥がされるようにキャミソールを脱がされたあっちゃんの直接見える胸の谷間に熱くなるどころではなく、起ってしまったのだから。谷間だけなのに。そしてそこかしこにある鬱血の跡。昨日の夜、いかに二人が激しく愛し合ったかを雄弁に物語っている。
愛し合った跡にようやく気が回ったあっちゃんが必死に両腕で胸の辺りを隠そうともがく。そしてそれにとどめを刺したのは涼。肩のストラップを下げて、ホックを外した。さすがにそこまでやるとは思わなかった俺が涼を見遣ると、余裕の涼しい顔をしたヤツがそこにいた。余裕がないのは俺か。
「病院では普通この状態で診てもらうんだから。今まで検査したことないんだから、やってもらえって。」
やってもらえって、って。その表現なんとかならないのかよ。
「厚美、病院でその姿は厳しいだろ。キスマークを何人に見られるか。ミキなら気にしないし。」
「でも、ミキ君に、」
あっちゃんの目に涙がうかぶ。ブラは両腕によって体にぶら下がっているだけで、その表情、涼がいなかったら間違えなく俺は押し倒しただろうな、たとえ兄貴の嫁さんて分かっていても。
「何度も言うけどミキは医者なんだって。」
イヤ、その前に一人の男だ。
「ちゃんと診てもらったら安心だろ?俺もちゃんと厚美の胸の調べ方知りたいし。ね、」
最後の優しく諭すような『ね』にあっちゃんが頷く。それを確認した涼が胸を覆っていた腕をほどかせた。
想像していたより、大きめの乳房。
想像していたより、薄い色の乳首。
そしてその乳房には少し小さめの乳輪と乳首、それはまるで舐めてくれ、と言うより甚振って欲しいとせがんでいるようだった。きれいなお椀型の乳房に誘うような乳首、それでいて不思議とあっちゃんの目同様勝気そうにツンと上を向いている。
なんていやらしい胸、思わず喉を鳴らしてしまった。
涼は夜な夜なこのいやらしい胸を弄くり、よがらせ、甘い声をあげさせているのか…
「じゃあ、あっちゃん、ちょっと我慢してね。」
早く終わらせてあげよう、俺の我慢だって厳しいから。けれど、あっちゃんの、そして俺の我慢はちょっとどころでは済まされなかった。
俺はしこりが出来る割合が高い部位から確認を始めた。涼も片方の胸を調べていく。時には涼の手の上から調べ方を指南し、その逆に俺の手の上に涼の手が乗せられ動きを確認していく。
少ししたところで、涼が更にあっちゃんを落とす一言を発した。
「ここじゃやりずらいな。洗面所へ行こう。あそこなら厚美も鏡で動きを確認できるし。」
医者と旦那、とは言え双子のそっくりな男二人に何分も胸を触られていたあっちゃんに、もう拒否る力はなかった。涼に抱きかかえられ、そのまま洗面所へ。
そこで俺にとってもある意味拷問のような時間が始まった。
「厚美、鏡を通してどういう風に調べるか確認して。」
目を伏せるあっちゃんの耳元で涼が囁く。まさしく悪魔の囁き。
『じゃないと、後で酷いよ。』どんな酷いことをされるのか、勿論ベッドの上でだろうけど。よっぽどイヤなのかあっちゃんが涙を溜めた目で鏡の中の自分を見る。裸の上半身に色の白さを際立たせるゴールドのネックレス。ツンと尖った乳首は生意気そうにせり上がっている。つまんだらどんな声をあげるのか?
知ってか知らずか涼が俺の思いを現実に。その乳首をきゅっと摘みながら聞いてきた。
「ここにもしこりって出来るのか?」
あっちゃんの口からは『ああん、うっ、』という甘い声が漏れ、体をくねらせた。涼はねちっこくこねながら、同じ質問を繰り返す。もう声を漏らすまいとするあっちゃんの口はしっかりと閉じられてはいるが、顔は上気し目を細め、まるで性的拷問を耐えているようだった。その姿はかなりエロい。
表情とその仕草だけでイケそうだった。
「そこにも確率は低いが、しこりは出来る。何より乳首で注意してもらいたいのは、そこからの分泌物だな。」
機械的に話すことで冷静さを保とうと俺は必死だった。果たして冷静に見えているかは分からないが。
「じゃ、ここも触診してあげて。」
「えっ、」
「しょくしん。」
鏡越しに見えるあっちゃんの表情は、怯えていると言えるかもしれない。きっとこれ以上自分の痴態を晒すのを恐れているのだろう。俺だってここで下半身が何かに触れれば、声を出してしまうほど敏感になっている。さすがに10代の頃の勃起とは違うが。
今度は俺に聞こえないように、涼があっちゃんの耳元で何かを囁いた。あっちゃんの目は大きく見開いたかと思うと、それこそ蚊の鳴く様な声で『ミキ君、お願い、すぐに終わらせて。』と言った。
そうか、
「分かった、すぐに終わらせるから。あっちゃん、恥ずかしかったら目を閉じていていいから。」
乳首なんて小さな部位、すぐ終わる。すぐに終わらせあげないと。
生意気そうな乳首を親指と人差し指で摘み軽く捩る。左右交互に。あっちゃんの体もそれに合わせて小刻みに震える。
なんで涼より先に彼女に出会えなかったのか…
「お疲れ。問題ないよ。」
「あ、ありがとう。ごめんね、ミキ君。こんなことまでさせちゃって。お休みなのに。」
「いいんじゃない。こんなきれいなおっぱいをタダでミキは捏ね繰りまわしたんだから。な、ミキ。」
「あっちゃん、うちの病院の乳腺外来には女医がいるから。ちなみに俺の同期。ま、1年に一回はちゃんと調べたほうがいいよ。エコーとかマーモで。それに、もし気になるしこりとかができたら、すぐに受診するように。」
涼の言葉は無視して、ここはひたすら医者らしく。そうすることであっちゃんの気恥ずかしさも緩和するだろうし。
その後の夕食が地獄だったのは言うまでもない。ちゃんと服を着ているのに、あっちゃんの胸ばかり想像できてしまって。