気ままな10月、日曜日

 

カフェにて食事



人は分からない。と言うより不思議。

脇田君は予想外、いや、とんでもない事をロビーでぶちまけてくれた。

あのまま、あの場所でこの手の話を続けるのは…、と言う訳で日曜の昼下がりのカフェなんか来てみたけれど。


周りは女の子同士、もしくはカップルって感じで…、なんか居辛い。まあ、こういうところに日曜の昼下がりに男同士って組み合わせはそうそうないから、気持ち的に開き直ってしまえば問題ないんだけど。


でも、でも、会話がない分どっちかが話しだすまで、目と目を合わすしかなくって。

これじゃあ、周りの人から見たら見つめ合うカップル?


「キャラメルラテの方?」

「はい、こちらです。」

「モッツレラチーズとトマトのパニーニの方?」

「あっち。」

救世主とは彼のこと?無言のまま待つこと十数分。飲み物と食べ物がやってきた。

必要最低限の質問しかしてくれなかったけど、これで私達の前には当分目線を合わせずにすむモノが運ばれてきた。


「折角だから、俺のとそのBLTを半分づつにしない?」

ちょっと驚き。おかしい。

「今日初めて、笑った顔みた。」

「そう?」

「どうして?」

「だって、女の子とのご飯みたい。半分づつなんて。」

「そうかな、見てたら、それも食べたくなった。」

「じゃ、」

プレートを寄せ合って、双方のを半分づつのせ変えてたら、重い空気がなんとなくどよんだ空気程度になった気がし始めた。


「あのさ、さっき言ったこと本当だから、木内さん。」

また、重くなった。さっきって、さっきのあれだよね。


「出来れば、そんな顔しないで欲しいんだけど。ま、木内さんが言うように、俺たちって接点ていう接点はないけど、同じクラスなんだから、俺が木内さんを好きになってもなんら不思議はないと思うけど。」

「まあ、そうかもしれないけど。」

「気が付かなかった、飲み物?」

「飲み物?」

「いつも、紙パックのオレンジジュース飲んでるから、だから、今日もオレンジジュース買ったんだけど。」

…。」

「ストーカーもどきだけど、結構見てたんだ。だから、今日も映画見に来ること知ってたし。それに、木内さんの視界に俺が特別に映ってないことも知ってる。」

…。」

「ま、食おう。」

脇田君って、結構とんでもないことをすらすら言えちゃう人なんだ。

でも、どうして私なんか

自分で言ってて悲しくなるけど、社交的でもないし、きれいでもないし、愛想笑いもできないし…。

それに、球技大会とかでも活躍したことないし。っていうか、どんなシーンでも活躍したことないし。


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